posted by 斑蜘ヨル&星野時雨
at 20:13:49 │
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雨が、降ってきた。
突然の夕立。
自室でやることもなく無気力に空を眺めるウォルフ。
(雨の日は暇だな)
ボロッカ復興のため、日夜働いていた、いや、体を動かしていないと罪の意識に苛まされる彼にとって、雨は、
(憂鬱だ)
しかし突然、ドアが開く音がする。
「すみません。ウォルフ居ますか?」
ウォルフが階下に降りると、ずぶ濡れのファウルがいた。
「うぁあー先生、びしょ濡れじゃないスか!入って下さい」
「ありがとうございます。薬を買いに行っていたのですが、突然降られてしまって…」
「そうだったんスかー。あ、頭拭いてあげますよ。」
ウォルフはタオルを持ってくると、ファウルの頭にぽんと置いた。身長が10㎝ほど違うので、ファウルにとってはやや屈辱的だった。
「なっ…自分で拭けます!」
「まーまー。堅いこと言わずに(笑)」
「…」
自分の眼下で大人しく頭を拭かれているファウルを見て、ウォルフは心臓が早くなるのを感じた。
普段からでは決して考えられない光景。
(顔ちっせーな)
気を紛らわそうと違うことを考えるも、どうしてもベクトルはそちらに行ってしまう。
いつもフワフワしている猫みたいな髪も、
暗くて冷たい目も、
男のくせに細い首も、
今まで意識したことなんてないのに、何故か意識してしまう。
(あぁ、きっと雨のせいだ)
ウォルフはそう思うことにして、普段は猛獣のように心に蓋をする彼の心の一端をなるべく見ないようにしてあげた。
きっと雨のせい。
――――――
…?
なんだこれ?
ファウルがどーしても受けくさくならなくて挫折。
敗北ですたい。

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