彼は、
強くなってしまった。
頼りない、
細い肩に、
全ての命と力を背負い、
そして、
私達を、
いや、
私を置いていこうとしている。
まるで、
いつかの母のように。
フェミオルート編。
あのバロールとの戦いから数ヶ月あまり。
司は惨敗したことをきっかけとして、己に辛い修業を課せ、以前とは比べものにならないくらいの強大な力を手に入れた。
もはや、ガーディアンどころか龍形態のローウェンでさえ、まともな相手にはならない程であった。
皆この戦争には勝つと喜び勇んだが、
ただひとり漠然とした不安を抱いて生きているものもいた。
(きっと、この戦いが終わったら司様は生まれたお国に戻られてしまうだろう)
司がバロールとの戦いの為、皆に用意した七日間。
フェミオは司からの誘いで修練場に来ていた。
勿論フェミオではすでに彼の相手を務まるはずもなく。
(それでも私を選んでくれるのが、嬉しくて、)
痛い。
フェミオは一生分の勇気を使って司を自室に誘った。
彼のとっておきのお茶を司に出すと、出会ったころのあの司の笑顔に会えた。
それからは二人で思い出話をした。
「こんな世界すぐに抜け出してやる~って始めは思ってたよ」
「あはは。よかったです。すぐに抜け出せる世界でなくて!」
勿論小突かれた。
「ほんとにね、フェミオやディオやクラウディアや、沢山の仲間に会えて良かった」
「それは身にあまる光栄です。…本当に…」
(おわりのことばをおっしゃろうとしているんだ)
フェミオはそれ以上続けられなかった。
剣を握るとき以外でこんなにも震えるなんて、彼は自分を嗤った。
(忘れないよ、と、別れを告げるんだろう)
「フェミオ?」
美しい琥珀の髪と瞳が目の前に広がる。
フェミオは司を抱きしめて、
決して、
騎手たる者が口にしてはならないことばを口にしていた。
「戦争など、終わらなければいい」
司は驚きと、
怒りをこめてフェミオの腕を引きはがした。
しかし、
司はさらに驚いてしまう。
彼が、
泣いていたから。
「司様に会えない。戦争が終われば貴方様はご自分の祖国に戻られてしまう。貴方様のお姿を見られないならば、蔑まれてもいい。この戦争、終わらなければいいと願うでしょう」
フェミオは続けた。
「初めてお逢いした時から気持ちのどこかに戦争の終幕を望まない自分がいた。初めは、そんな自分を嫌悪すらしていたが、もう駄目です。貴方様を思う気持ちが言の葉になって溢れてきてしまう。なんて、なんて汚らわしい生き物なんだ…っ!!」
フェミオは、
母が死んだときに捨てた涙で一杯だった。
もう後戻り出来ない。
彼は開放感と罪悪感で眩暈を感じていた。
その時頬に少しひんやりした、司の手が当てられる。
「やっと言ったな」
フェミオは面食らった。
「やっと気持ちを伝えたな。素直に好きって言わないとこがフェミオらしいけど、気持ち、伝わったよ。俺はね、ずっと、フェミオのそのことばを待ってたんだ。好きだよ、俺も」
フェミオは、
そのあとはひとしきり泣いたり、好きと伝えたりしていた。
フェミオの自室の前ではディオとクラウディアが深いため息をつき、そして、笑って去っていった。
「いい?もし俺がいなくなっても、俺たちには心と想う力があるんだ。とおく離れてもいつでも俺はフェミオを想うよ」
「だから、どうか泣かないで」
――――
中途半端~。
こういう古臭い意味不明の文かいてるから駄目なんだ!悪い子めっ!
台詞苦手ヨルでしたー

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